親権・監護権・子の引渡し

親権者である養父及び実母から虐待を受け、一時保護の措置がとられている子について、児童相談所長による親権停止の申立てを却下した原審判を取り消し、親権を2年間停止するのが相当であるとした事例

出典
家庭の法と裁判33号72頁
事案の概要

子(2008年生)は、生後8か月以来、乳児院や児童養護施設で育った。他のきょうだいらも2010年までには同じ施設に入所していた。母は2013年に男性と婚姻し、子らは同男性と養子縁組した。親権者らは、その後姉2名を引き取った。子と兄とは、2015年8月頃から親権者ら宅に外泊するようになり、2017年8月、両名につき施設入所措置が解除されて引き取られた。同年12月、子は、屋外で発見され、児童虐待のおそれがあるとして児童相談所長に通告(児童福祉法25条1項本文)がなされた。子につき一時保護の措置をとった同所長は、2018年4月、原審に対し、親権者らの子に対する親権を2年間停止することを求める申し立てをした(同法33条の7)。子(当時小学5年)は、利害関係参加し、上記外泊時や家庭に引き取られた後に、親権者らから暴力を振るわれたり、放置されたりした旨述べ、親権者らの親権停止を希望した。

原審は、親権者らは子に対し相当な頻度で暴力を振るい、食事を抜き、そのために子は親権者らに対して強い恐怖心を抱いていたと認め、一時保護の措置を受ける以前の親権者らの親権の行使は不適当であり、子の利益を害するものであったとしたが、一時保護が行われた現時点では、親権者らは一時保護を妨害する姿勢を示しておらず、親権者らが適切な養育選択を妨げるような行動をとったり、必要な手続への同意など親権者として行うべき行為を理由もなく怠って子の利益を害しているという事情も生じていないことなどから、「子の利益を害する」との要件(民法834条の2第1項)を満たすとはいえないとして、申立てを却下した。これに対し、子と児童相談所長とが抗告した。

決定の概要

親権者らは、子が親権者ら宅で外泊するようになった2015年8月頃から、一時保護の措置がとられた2017年12月頃まで、子に対し、殴る、たたく、屋外に出す、トイレに長時間閉じ込める、食事を抜く、長時間正座をさせる、子の面前で姉を鎖で縛るなどの行為を繰り返していたものと認められ、これが子に対する重大な虐待行為に該当することは明らかである。親権者らの子に対する養育実績はほとんどなく、今後子を適切に養育できると期待することはできない。子は親権者らに強い恐怖心を抱いており、子の今後の健全な成長のためには、親権者らの影響が心理的にも及ばないと子が明確に自覚し得るような環境が必須である。子は親権の停止を希望し、子の原審手続代理人も親権停止が相当であるとの意見を述べている。子が親権者らを拒絶する気持ちは強く、今後、親子として再統合を果たす可能性は極めて小さい。以上によれば、親権者らによる親権の行使が不適当であり、そのことにより子の利益を害することは明らかであるから、民法834条の2を適用し、親権者らの子に対する親権を2年間停止するのが相当であるとした。(KI)

親権・監護権・子の引渡し

父母以外の第三者は事実上子を監護してきた者であっても、子の監護に関する処分として子の監護者指定の審判申立てをすることができないとして、祖母からの監護者指定の申立てを不適法とした件

出典
裁判所ウェブサイト
事案の概要

※本件は、大阪高裁2020(令和2)年1月16日決定(本サイトにて紹介済み)の許可抗告審である。

母は前夫と、子の親権者を母と定めて離婚した。母と子の祖母とは一緒に子を監護していたことがあるが、2017年8月頃以後、祖母が単独で子を監護している。2018年3月、母はYと婚姻し、その際、Yは子と養子縁組をした。祖母は、母及びYを相手方として、子の監護をすべき者を祖母と定める審判を申し立てた。原審は、子の福祉を全うするため、民法766条1項の法意に照らし、事実上の監護者である祖父母等も、家庭裁判所に対し、子の監護をすべき者を定める審判の申し立てをすることができると解すべきとして、子の監護者を、事実上子の監護をしてきた祖母と指定した。母とYとが許可抗告を申し立て、許可された。

決定の概要

民法766条1項前段は、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護に関する処分として子の監護をすべき者その他必要な事項は、父母が協議をして定めるものとし、これを受けて同条2項は、同条1項の協議の主体である父母の申立てにより、家庭裁判所が子の監護に関する事項を定めることを予定しているものと解される。他方、民法その他の法令において、事実上子を監護してきた第三者が、家庭裁判所に上記事項を定めるよう申し立てることができる旨を定めた規定はなく、監護の事実をもって上記第三者を父母と同視することもできない。子の利益は、子の監護に関する事項を定めるに当たって最も優先して考慮しなければならないが、父母以外の第三者に子の監護をすべき者を定める審判の申立てを許容する根拠となるものではない。「したがって、父母以外の第三者は、事実上子を監護してきた者であっても、家庭裁判所に対し、子の監護に関する処分として子の監護をすべき者を定める審判を申し立てることはできないと解するのが相当である。」祖母の本件申立ては、不適法というべきであるとして、原決定を破棄し、原々決定を取り消した。(B)

親権・監護権・子の引渡し

母が、親権者である父に対し、子の親権者変更を本案とする審判前の保全処分として親権者の職務執行停止及び職務代行者の選任を申し立てた事案において、子の高校進学が阻害されるとしてこれを認容し、職務代行者に母を選任した事例

出典
家庭の法と裁判31号106頁
事案の概要

父と母とは、長男と未成年者である長女(2003年生)をもうけたが、2015年、子らの親権者をいずれも父と定めて協議離婚した。父は、父方祖母と同居して子らを養育していた。長女は、中学2年時に不登校となり、2018年2月には母方に行き、以後母方で養育されているが、中学3年からは登校を再開した。母宅は1LDKで、その2017年の給与収入は約375万円である。長女は高校進学を予定しており、受験が間近に迫っているにもかかわらず、父は、自らが親権者であるとして自らが三者面談に出席することにこだわり、母の出席を拒否している。長女は、家庭裁判所調査官の面接調査の際、父が祖母らを怒鳴るなどしていたことが嫌で、投げやりな気持ちになって不登校となったこと、父が自分の気持ちを理解せずに登校を求めるのが辛く、父から出て行けと言われたことをきっかけとして母宅に行ったこと、当初は父宅に戻る気持ちもあったが、母宅での生活が快適で、このまま母宅で暮らしたいし、進路についても母と相談して決めたい、よって、親権者を母に変更してほしいとを述べた。母は、父に対し、長女の親権者変更を本案として、審判前の保全処分(親権者の職務執行停止、職務代行者の選任)を申し立てた。

決定の概要

母は経済的に安定しており、長女の生活も安定しているのであって、その監護状況に問題はみられない。家庭裁判所調査官の面接調査をみても、現在15歳である長女は、真意から申立人宅での生活を希望しており、この希望は十分に尊重されるべきである。よって、本案申立認容の蓋然性がある。また、長女の高校受験は間近に迫っているが、父は母が三者面談に出席することを拒否しており、長女が父宅に戻ってこないとその県立高校受験の手続には協力しない意向を示している。長女の利益のためには、長女が希望する県立高校の受験を認める必要があるところ、現状のままでは、そのような受験をすることができないおそれがあり、保全の必要性もある。本案審判が効力を生ずるまでの間、父の長女に対する親権者としての職務の執行を停止し、その職務代行者に母を選任した。(B)

親権・監護権・子の引渡し

三人の子のうち、長女の監護者を父、二女・三女の監護者を母と指定し、長女の引渡しを求める母の申立て及び二女・三女の引渡しを求める父の申立てを却下した事例

出典
家庭の法と裁判30号63頁
事案の概要

夫婦は2008年に婚姻し、長女(2008年生)、二女(2011年生)、三女(2014年生)をもうけた。母の異性関係をめぐり夫婦関係は悪化し、2018年3月、母が三人の子を連れて別居した。しかし、その翌日、長女は自ら父宅に戻り、以降、父及び父方祖父母に監護されている。別居前の主たる監護者は母であった。

父は、母に対して、三人の子の監護者を父と指定するとともに、母の養育下にある二女及び三女の引渡しを求めた。他方、母は、父に対して、子らの監護者を母と指定するとともに、長女の引渡しを求めた。

原審(長野家裁飯田支部)は、長女の意向及び姉妹分離の解消の利益を重視し、三人の子の監護者を父と定め、二女及び三女を父に引き渡すよう母に命じるとともに、母の申立てを却下した。母が抗告した。

決定の概要

長女については、母との同居を拒否する意向を一定程度尊重すべきで、父の監護も格別問題視すべき状況にあると評価することはできないとして、父を監護者と指定した。

二女及び三女については、母の監護状況に特段の問題はなく、また、母と生活することに何ら拒否感を有しておらず、母との関係性は良好で健やかに成長しており、「従前ないし現在の監護環境を維持することが最も子の福祉に合致するものと認められるから、抗告人(注:母)を監護者と定めるのが相当である。」とした。そのうえで、姉妹分離の解消の利益については、「一般的に、低年齢の姉妹を同一の監護者の下で養育した方が望ましいとはいい得るものの、これは、監護者を定める上での一考慮要素にすぎないものであって、父母のいずれを監護者と定めるのが子の福祉に合致するのかについては、個々の未成年者ごとに個別具体的に検討すべき事柄である。」とし、本件においては、父母が比較的近い距離に居住しており、姉妹間の交流も相当程度頻繁に行われていることから、「監護親が異なることによる弊害が大きいとはいえない。」として、母を二女及び三女の監護者と指定するとともに、引渡しを求める父母双方の申立てを却下した。(KI)

親権・監護権・子の引渡し

未成年者の事実上の監護をしている祖母から父母に対し、未成年者の監護者を祖母と指定することを求めた事案で、これを認めた原審判を相当として維持した事例

出典
家庭の法と裁判30号69頁、判例タイムズ1479号51頁
事案の概要

母は、実家にて、実母である祖母とともに未成年者を育てていたが、2010年2月に夫と、未成年者の親権者を母として離婚した。2017年、母は未成年者を実家に置いて男性と同居した。2018年、母は男性と婚姻し、併せて、母が代諾者となって未成年者と男性とは養子縁組した。また、母は、同年、祖母から未成年者を引き取るべく未成年者に係る人身保護請求をしたが、その手続き等の中で、未成年者は母に対し、養父と別れて、母と祖母の3人で生活したいと述べるなどした。成人男性を苦手とする未成年者は、養父を嫌悪し、これに同調する母にも反発して、身体症状が出るとともに、学校も休むようになり、適応障害等の疑いや、母の再婚に関連したストレスから不安等の身体症状があると診断された。母の上記請求は棄却され、上告棄却等により確定した。祖母は、同年、母に対し未成年者の監護者を祖母に指定する調停を申し立て(審判移行)、翌2019年、養父に対しても、同趣旨の審判を申し立てた。原審は、未成年者(当時9歳)の福祉のためには、祖母を監護者として指定し、その安定した監護養育を継続させることが相当であると審判した。母と養父が抗告した。

決定の概要

「子の福祉を全うするためには、民法766条1項の法意に照らし、事実上の監護者である祖父母等も、家庭裁判所に対し、子の監護者指定の申立てをすることができるものと解するのが相当である。」として、事実上の監護をしている祖父母等の監護者指定の申立権を肯定し、そのうえで、「その判断に当たっては、子の福祉の観点を最も重視すべきである。」とし、「上記祖父母等を監護者と定めるためには、上記親権の行使に重大な制約を伴うこととなったとしても、子の福祉の観点からやむを得ないと認められる場合であること、具体的には、親権者の親権の行使が不適当であることなどにより、親権者に子を監護させると、子が心身の健康を害するなど子の健全な成長を阻害するおそれが認められることなどを要すると解するのが相当である。」とした。

本件では、未成年者は、養父に対して嫌悪感、不信感を抱き、養父を強く拒絶していること、母は、養父に追従し、未成年者と養父との家族関係の構築を急ぐあまり、未成年者の意向や心情に対する配慮を欠く行動を繰り返していること、母の言動が原因となって、未成年者は、精神的に不調を来たし、小学校にも通学することができない状況となったこと、未成年者は、本決定時10歳であり、母と養父との同居を拒否し、祖母と二人で生活することを望んでいることなどからすると、上記に該当し、未成年者の監護者を祖母と定めるのが相当であるとした。(I)

※本件は最高裁2021(令3)年3月29日決定(令和2年(許)第14号)に破棄され、家裁審判は取り消された 。

親権・監護権・子の引渡し

双子の兄妹のうち、長男の監護者を父と指定したうえ、長男の引渡しを求める母の申立てを却下した事例

出典
家庭の法の裁判29号112頁、判例タイムズ1478号94頁
事案の概要

夫婦は2004年に婚姻し、2017年7月、母が子ら(別居時10歳の双子の兄妹)を連れて別居した。別居前の主たる監護者は母であり、父による監護は主に休日に限られていた。2018年1月の夜、長男が自ら父宅に戻り、以降、父が父方祖母(77歳)の補助を受けて長男を監護している。母が子らの監護者の指定及び長男の引渡しを求める審判を申し立てた。

別居後の面会交流は、2018年5月以降、月2回の頻度で実施されてきた。長女と父との面会交流は比較的円滑に実施されているが、長男は母との面会交流には消極的である。

原審(大阪家裁)は、長男が自ら父宅に転居したのは、長男と父との面会交流が希望どおりに実施されなかった不満等によるもので、今後の生活について熟慮したうえでの行動とはいえないこと、父の監護経験が乏しいこと、長男が父との生活を希望している言動等を踏まえても、父による監護が母による監護と比べてより未成年者の福祉に資するともいえないこと等から、子らの監護者を母と指定し、長男の引渡しを父に命じた。父が抗告した。

決定の概要

「抗告人(注:父)による未成年者(注:長男)の監護状況にも特段の問題はなく、監護補助者である父方祖母は、77歳と高齢ではあるが健康であって、今後も監護補助を続けられる見込みである・・・また、未成年者は、本件別居前から抗告人との父子関係が良好であり、抗告人との同居の継続を強く求めている。他方、未成年者は、相手方(注:母)に対する不信感等もあり、相手方との同居を拒んでいる・・・また、抗告人宅と相手方宅は、いずれも未成年者らが通う小学校の校区内にあり、相互の距離も近く、未成年者と長女は自由に交流することができる・・・以上の未成年者の従前の監護状況、今後の監護態勢、未成年者と当事者双方との心理的結び付き、未成年者の心情等を総合すると、抗告人において未成年者を監護する方が、未成年者の心理的安定が保たれ、その健全な成長に資し、未成年者の福祉に適うものと認められる。また、未成年者は、相手方に引き取られることを強く拒んでおり、従前と同様、自ら抗告人宅に戻る可能性が高いから・・・抗告人を未成年者の監護者と指定するのが相当である。」とし、長男の引渡しを求める母の申立てを却下した。(KI)

親権・監護権・子の引渡し

外国における父母の共同親権とする定めが日本においても有効とされる場合、単独親権への変更は子らの利益のために必要であるとして認容した事例

出典
家庭の法と裁判29号129頁、判例タイムズ1478号252頁、判例時報2456号123頁
事案の概要

申立人(母)と相手方(父)は、2013年、外国において長女及び二女の親権を共同親権として裁判離婚した。申立人は、子らを連れて同年日本に帰国し、以後日本で単独で監護しており、相手方は、以来、子らと面会も養育費の支払いもしていない。申立人は2019年からAと同居を開始し、婚姻を予定し、子らも同居している。Aは子らとの養子縁組を希望しているが、共同親権となっていることから申立人一人で縁組の代諾ができない。申立人から自分を子らの親権者に指定するとの審判を求めた。

決定の概要

日本の裁判所は本件の国際裁判管轄を有すること、準拠法は日本法であること、本件の離婚は民事訴訟法118条の要件を満たし、外国における共同親権の定めが、日本においても有効であること、本件の親権者指定の申立ては、単独で親権を行使できるようにすることを求めていると理解できるから、民法8196項に基づき共同親権を単独親権に変更することも申立ての趣旨に反するものではないことを認めた。また、申立人による6年以上の単独監護に問題は認められず、「(Aと)養子縁組することが、生活環境の安定にも資することになり、子らの利益となるといえることに照らすと、子らの親権を申立人と相手方の共同親権から申立人の単独親権へと変更することが子らの利益のために必要である」として、申立てを認容した。(B

親権・監護権・子の引渡し

9歳の子につき、子の引渡しを命じる審判を債務名義とする間接強制の申立てを権利の濫用にあたるとした事例

出典
裁判所時報1723号3頁、家庭の法と裁判22号67頁、判例タイムズ1461号23頁
事案の概要

父は子ら3人を連れて実家に転居し、以来夫婦は別居した。奈良家裁審判は子の監護者を母と指定し確定した。2017年、子の引渡しの直接強制執行により、二男及び長女は母に引き渡されたが、9歳の長男は明確に拒絶して泣きじゃくり呼吸困難に陥りそうになった。母から父に対する人身保護請求事件においても、長男は父のもとでの生活を続けたいと陳述し、請求は棄却された。母は、間接強制執行の申立てを行い、原審(大阪高裁平成30年決定)はこれを認め、1日1万円の割合による金員の支払いを父に命じた。父が抗告した。

決定の概要

「以上の経過からすれば、現時点において、長男の心身に有害な影響を及ぼすことのないように配慮しつつ長男の引渡しを実現するため合理的に必要と考えられる抗告人の行為は、具体的に想定することが困難というべきである。このような事情の下において、本件審判を債務名義とする間接強制決定により、抗告人に対して金銭の支払を命じて心理的に圧迫することによって長男の引渡しを強制することは、過酷な執行として許されないと解される。そうすると、このような決定を求める本件申立ては、権利の濫用に当たるというほかない。」とし、間接強制の申立てを却下すべきとし、原決定を破棄して、原々決定を取り消した。(S)

親権・監護権・子の引渡し

妻から子らを監護中の夫に対して監護者指定及び子の引渡しを申し立て、いずれも却下された事例

出典
家庭の法と裁判29号87頁、判例時報2450・2451合併号9頁
事案の概要

夫婦は2009年に婚姻し、2018年、夫が子ら(別居時小学年および年長児)を連れて実家に戻り別居した。同居中の主たる監護者は妻であったが、夫の求職中は夫が監護することが多くなり、妻が精神的に不安定になってからよりその傾向が強くなった。別居後、妻は県外の自己の実家に転居した。妻から監護者指定と子の引渡しを求める審判を申し立てた。

別居後、子らは、実家において、父とその父母及び妹と生活している。別居後の面会交流はおおむね月1回の頻度で実施されてきた。

原審(福岡家裁大牟田支部)は、父の監護に問題はないが、調査の結果、子ら、とくに長女が母と暮らしたいと発言し、母により強い好意や精神的結びつきを示しているとして、監護者を母と指定し子の引渡しを父に命じた。父が抗告した。

決定の概要

「現在は、相手方(注:母)との宿泊付きの面会交流も安定的に実施されている状況にある。就学後の子らについて監護者を定めるに当たっては、従前からの安定した監護環境ないし生活環境を維持することによる利益を十分考慮する必要があり、乳幼児期の主たる監護者であった相手方との親和性を直ちに優先すべきとまではいえない。さらに、長女は、相手方との面会交流時にはEで相手方と暮らしたいと繰り返し発言しているが、担任教諭に対してはZ小学校や友人と離別することへの強い不安を訴えているのであって、相手方への上記発言が長女の相手方への思慕を示す表現であるとしても、本件監護者指定における位置付けについては慎重に評価・判断する必要がある・・・以上の事情を考慮すれば、子らにとっては、現状の生活環境を維持した上で、相手方との面会交流の充実を図ることが最もその利益に適うというべきであるから、子らの転居・転校を伴う相手方への監護者指定と子らの引渡しは相当ではない。」として却下した。(S)