面会交流

父母以外の第三者は事実上子を監護してきた者であっても、子の監護に関する処分として子との面会交流について定める審判を申し立てることはできないとして、祖父母からの面会交流の申立てを不適法とした件

出典
裁判所ウェブサイト
事案の概要

父は、婚姻した母と子(2016年生)とともに、母の親である祖父母方で同居していたが、2017年以降家を出て別居した。その後、父は母と交替で子を監護したが、祖父母らは母による監護を補助していた。母が死亡後は父が子を監護している。祖父母らは、子との面会交流を定める審判を申し立てた。原審(大阪高裁2019(令和元)年11月29日判決)は、父母以外の事実上子を監護してきた第三者が、子との面会交流を認めることが子の利益にかなう場合には、民法766条1項及び2項の類推適用により、子の監護に関する処分として上記の面会交流を認める余地がある、祖父母は母を補助して事実上子を監護してきた者であるから、本件面会交流を認めることが子の利益にかなうか否かなどを審理することなく、本件申立てを不適法として却下することはできない、として、祖父母の申立てを不適法として却下した原々審判を取り消し、原々審に差し戻した。父が許可抗告を申し立て、許可された。

決定の概要

民法766条1項前段は、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護に関する処分として子の監護をすべき者その他必要な事項は、父母が協議をして定めるものとし、これを受けて同条2項は、同条1項の協議の主体である父母の申立てにより、家庭裁判所が子の監護に関する事項を定めることを予定しているものと解される。他方、民法その他の法令において、事実上子を監護してきた第三者が、家庭裁判所に上記事項を定めるよう申し立てることができる旨を定めた規定はなく、監護の事実をもって上記第三者を父母と同視することもできない。子の利益は、子の監護に関する事項を定めるに当たって最も優先して考慮しなければならないが、父母以外の第三者に上記申立てを許容する根拠となるものではない。したがって、父母以外の第三者は、事実上子を監護してきた者であっても、家庭裁判所に対し、子の監護に関する処分としての面会交流を定める審判の申立てをすることはできないと解するのが相当である。祖父母らは、母による子の監護を補助してきたが、子の父母ではないから、家庭裁判所に対し、子との面会交流を定める審判の申立てをすることはできない。祖父母らの本件申立ては、不適法というべきである。子の監護に関する処分の申立てを却下する審判に対して即時抗告をすることができるのは「子の父母及び子の監護者」であり、祖父母らはそのいずれにも該当しないため、原々審判に対する祖父母らの抗告は不適法であるとして、これを却下した。(B)

面会交流

母が審判で定めた面会交流を実施しないとして父が面会交流調停を申し立て、面会交流の内容を特定して前件審判の主文のうち必要な部分を変更した事例

出典
家庭の法と裁判30号88頁
事案の概要

申立人(父)と相手方(母)は、2010年に婚姻したが、2011年に母が未成年者(2011年生)の出産準備のため実家に戻って以降別居した。別居当初父子は不定期に面会交流を行っていたが、2015年11月に未成年者の親権者を母と定めて離婚してからは実施されなかった。父は2016年11月、面会交流調停を申し立て審判移行となった。審判では、概ね面会交流を実施する月(毎年3月、7月、12月)と回数(各1回)、面会時間(2時間)などが定められたが、面会交流の具体的な日時、場所及び方法については、母が、面会交流をするのであれば当事者間で連絡を取り合い調整する意欲意思を見せていたことから当事者間の協議に委ねることとされた。しかし、母は面会交流義務を履行せず、裁判所による履行勧告にも応じなかったので、父は2019年6月、再度面会交流調停を申し立てた。母は調停期日に出頭しなかったため審判移行となった。

決定の概要

「申立人と未成年者との面会交流を拒否する相手方の姿勢は強固なものであると認められ」、相手方は「申立人と未成年者との面会交流について、申立人との間で協議することも拒否しているものと認められる」ことからすると、「前件審判の主文に至った理由として説示された、相手方は直接の面会交流には消極的であるものの、面会交流を実施するとなれば、当事者間で連絡を取り合って具体的な調整を行う意思を見せている、という点は、現時点において考慮することはでき」ないとし、「面会交流の確実な実施のためには、監護親である相手方がすべき給付の内容を特定すべきである」としたうえで、日時を「毎年3月、7月、12月の各第4土曜日の午前11時から午後1時まで」、引渡場所を未成年者が見知った場所である大型ショッピングセンター「E前」とするなどして、前件審判の主文を一部変更した。(KO)

面会交流

面会交流申立てにつき、間接交流のみを認めた原審判を変更し直接交流を認めた事例

出典
家庭の法と裁判29号78頁、判例タイムズ1476号74頁、判例時報2447号5頁
事案の概要

抗告人(夫)と相手方(妻)は、2010年に婚姻したが、2013年に妻が子ら(2010年生、2013年生)を連れて出て別居した。2015年に月1回程度の面会交流を定める別居調停が成立した。夫婦の不和の原因には夫の女性関係がある。別居後、父子は面会交流を続け4人で海外旅行をするなどもした。妻は2018年頃から心療内科に通院し、その頃、夫方で交際女性と対面して以来、夫婦の関係は悪化した。夫は面会交流調停を、妻は離婚調停を申立てた。原審は、子らは父を慕う気もちはあるが、長女は、夫婦の関係修復に十分に答えない父と面会することは母を悲しませると案じており、面会が長く途絶えることは面会の機会を奪うので、適宜の時期に直接面会の再開について協議を始めるのが相当であるとして、前件調停の実施要領(直接交流)を間接交流に変更した。父が抗告した。

決定の概要

「長女は抗告人に会いたいと思う一方、相手方の心中を慮って会うことを躊躇するという忠誠葛藤に陥っており、この状態が続けば、長女に過度の精神的負担を強いることになる。したがって、抗告人と未成年者らの直接交流を速やかに再開することが未成年者らの福祉に適うと認めるのが相当である。」「相手方は、抗告人との接触を避けることが望ましいと診断されているが、未成年者らの年齢(9歳、6歳)や発達状況からすると、当事者のいずれかの目が届く範囲の短距離であれば、受渡場所まで未成年者らだけで歩いて行くことは可能であるから、相手方と抗告人が直接対面することなく未成年者らの受渡しができないわけではなくい。したがって、相手方の心身の不調は、直接交流を禁止、制限すべき事由にはならない。」として、原審を変更し、具体的な実施要領を定めて、月1回7時間の直接面会を命じた。(S)