大阪高裁2019(令1)年6月21日決定

親権・監護権・子の引渡し

双子の兄妹のうち、長男の監護者を父と指定したうえ、長男の引渡しを求める母の申立てを却下した事例

出典
家庭の法の裁判29号112頁、判例タイムズ1478号94頁
事案の概要

夫婦は2004年に婚姻し、2017年7月、母が子ら(別居時10歳の双子の兄妹)を連れて別居した。別居前の主たる監護者は母であり、父による監護は主に休日に限られていた。2018年1月の夜、長男が自ら父宅に戻り、以降、父が父方祖母(77歳)の補助を受けて長男を監護している。母が子らの監護者の指定及び長男の引渡しを求める審判を申し立てた。

別居後の面会交流は、2018年5月以降、月2回の頻度で実施されてきた。長女と父との面会交流は比較的円滑に実施されているが、長男は母との面会交流には消極的である。

原審(大阪家裁)は、長男が自ら父宅に転居したのは、長男と父との面会交流が希望どおりに実施されなかった不満等によるもので、今後の生活について熟慮したうえでの行動とはいえないこと、父の監護経験が乏しいこと、長男が父との生活を希望している言動等を踏まえても、父による監護が母による監護と比べてより未成年者の福祉に資するともいえないこと等から、子らの監護者を母と指定し、長男の引渡しを父に命じた。父が抗告した。

決定の概要

「抗告人(注:父)による未成年者(注:長男)の監護状況にも特段の問題はなく、監護補助者である父方祖母は、77歳と高齢ではあるが健康であって、今後も監護補助を続けられる見込みである・・・また、未成年者は、本件別居前から抗告人との父子関係が良好であり、抗告人との同居の継続を強く求めている。他方、未成年者は、相手方(注:母)に対する不信感等もあり、相手方との同居を拒んでいる・・・また、抗告人宅と相手方宅は、いずれも未成年者らが通う小学校の校区内にあり、相互の距離も近く、未成年者と長女は自由に交流することができる・・・以上の未成年者の従前の監護状況、今後の監護態勢、未成年者と当事者双方との心理的結び付き、未成年者の心情等を総合すると、抗告人において未成年者を監護する方が、未成年者の心理的安定が保たれ、その健全な成長に資し、未成年者の福祉に適うものと認められる。また、未成年者は、相手方に引き取られることを強く拒んでおり、従前と同様、自ら抗告人宅に戻る可能性が高いから・・・抗告人を未成年者の監護者と指定するのが相当である。」とし、長男の引渡しを求める母の申立てを却下した。(KI)