東京高裁2020(令2)年2月18日決定

親権・監護権・子の引渡し

三人の子のうち、長女の監護者を父、二女・三女の監護者を母と指定し、長女の引渡しを求める母の申立て及び二女・三女の引渡しを求める父の申立てを却下した事例

出典
家庭の法と裁判30号63頁
事案の概要

夫婦は2008年に婚姻し、長女(2008年生)、二女(2011年生)、三女(2014年生)をもうけた。母の異性関係をめぐり夫婦関係は悪化し、2018年3月、母が三人の子を連れて別居した。しかし、その翌日、長女は自ら父宅に戻り、以降、父及び父方祖父母に監護されている。別居前の主たる監護者は母であった。

父は、母に対して、三人の子の監護者を父と指定するとともに、母の養育下にある二女及び三女の引渡しを求めた。他方、母は、父に対して、子らの監護者を母と指定するとともに、長女の引渡しを求めた。

原審(長野家裁飯田支部)は、長女の意向及び姉妹分離の解消の利益を重視し、三人の子の監護者を父と定め、二女及び三女を父に引き渡すよう母に命じるとともに、母の申立てを却下した。母が抗告した。

決定の概要

長女については、母との同居を拒否する意向を一定程度尊重すべきで、父の監護も格別問題視すべき状況にあると評価することはできないとして、父を監護者と指定した。

二女及び三女については、母の監護状況に特段の問題はなく、また、母と生活することに何ら拒否感を有しておらず、母との関係性は良好で健やかに成長しており、「従前ないし現在の監護環境を維持することが最も子の福祉に合致するものと認められるから、抗告人(注:母)を監護者と定めるのが相当である。」とした。そのうえで、姉妹分離の解消の利益については、「一般的に、低年齢の姉妹を同一の監護者の下で養育した方が望ましいとはいい得るものの、これは、監護者を定める上での一考慮要素にすぎないものであって、父母のいずれを監護者と定めるのが子の福祉に合致するのかについては、個々の未成年者ごとに個別具体的に検討すべき事柄である。」とし、本件においては、父母が比較的近い距離に居住しており、姉妹間の交流も相当程度頻繁に行われていることから、「監護親が異なることによる弊害が大きいとはいえない。」として、母を二女及び三女の監護者と指定するとともに、引渡しを求める父母双方の申立てを却下した。(KI)