水戸家裁土浦支部2019(平31)年1月18日審判

親権・監護権・子の引渡し

母が、親権者である父に対し、子の親権者変更を本案とする審判前の保全処分として親権者の職務執行停止及び職務代行者の選任を申し立てた事案において、子の高校進学が阻害されるとしてこれを認容し、職務代行者に母を選任した事例

出典
家庭の法と裁判31号106頁
事案の概要

父と母とは、長男と未成年者である長女(2003年生)をもうけたが、2015年、子らの親権者をいずれも父と定めて協議離婚した。父は、父方祖母と同居して子らを養育していた。長女は、中学2年時に不登校となり、2018年2月には母方に行き、以後母方で養育されているが、中学3年からは登校を再開した。母宅は1LDKで、その2017年の給与収入は約375万円である。長女は高校進学を予定しており、受験が間近に迫っているにもかかわらず、父は、自らが親権者であるとして自らが三者面談に出席することにこだわり、母の出席を拒否している。長女は、家庭裁判所調査官の面接調査の際、父が祖母らを怒鳴るなどしていたことが嫌で、投げやりな気持ちになって不登校となったこと、父が自分の気持ちを理解せずに登校を求めるのが辛く、父から出て行けと言われたことをきっかけとして母宅に行ったこと、当初は父宅に戻る気持ちもあったが、母宅での生活が快適で、このまま母宅で暮らしたいし、進路についても母と相談して決めたい、よって、親権者を母に変更してほしいとを述べた。母は、父に対し、長女の親権者変更を本案として、審判前の保全処分(親権者の職務執行停止、職務代行者の選任)を申し立てた。

決定の概要

母は経済的に安定しており、長女の生活も安定しているのであって、その監護状況に問題はみられない。家庭裁判所調査官の面接調査をみても、現在15歳である長女は、真意から申立人宅での生活を希望しており、この希望は十分に尊重されるべきである。よって、本案申立認容の蓋然性がある。また、長女の高校受験は間近に迫っているが、父は母が三者面談に出席することを拒否しており、長女が父宅に戻ってこないとその県立高校受験の手続には協力しない意向を示している。長女の利益のためには、長女が希望する県立高校の受験を認める必要があるところ、現状のままでは、そのような受験をすることができないおそれがあり、保全の必要性もある。本案審判が効力を生ずるまでの間、父の長女に対する親権者としての職務の執行を停止し、その職務代行者に母を選任した。(B)