最高裁2021(令3)年3月29日決定(令和2年(許)第14号)

親権・監護権・子の引渡し

父母以外の第三者は事実上子を監護してきた者であっても、子の監護に関する処分として子の監護者指定の審判申立てをすることができないとして、祖母からの監護者指定の申立てを不適法とした件

出典
裁判所ウェブサイト
事案の概要

※本件は、大阪高裁2020(令和2)年1月16日決定(本サイトにて紹介済み)の許可抗告審である。

母は前夫と、子の親権者を母と定めて離婚した。母と子の祖母とは一緒に子を監護していたことがあるが、2017年8月頃以後、祖母が単独で子を監護している。2018年3月、母はYと婚姻し、その際、Yは子と養子縁組をした。祖母は、母及びYを相手方として、子の監護をすべき者を祖母と定める審判を申し立てた。原審は、子の福祉を全うするため、民法766条1項の法意に照らし、事実上の監護者である祖父母等も、家庭裁判所に対し、子の監護をすべき者を定める審判の申し立てをすることができると解すべきとして、子の監護者を、事実上子の監護をしてきた祖母と指定した。母とYとが許可抗告を申し立て、許可された。

決定の概要

民法766条1項前段は、父母が協議上の離婚をするときは、子の監護に関する処分として子の監護をすべき者その他必要な事項は、父母が協議をして定めるものとし、これを受けて同条2項は、同条1項の協議の主体である父母の申立てにより、家庭裁判所が子の監護に関する事項を定めることを予定しているものと解される。他方、民法その他の法令において、事実上子を監護してきた第三者が、家庭裁判所に上記事項を定めるよう申し立てることができる旨を定めた規定はなく、監護の事実をもって上記第三者を父母と同視することもできない。子の利益は、子の監護に関する事項を定めるに当たって最も優先して考慮しなければならないが、父母以外の第三者に子の監護をすべき者を定める審判の申立てを許容する根拠となるものではない。「したがって、父母以外の第三者は、事実上子を監護してきた者であっても、家庭裁判所に対し、子の監護に関する処分として子の監護をすべき者を定める審判を申し立てることはできないと解するのが相当である。」祖母の本件申立ては、不適法というべきであるとして、原決定を破棄し、原々決定を取り消した。(B)