大阪高裁2020(令2)年2月20日決定

養育費・婚姻費用

前件審判後の抑うつ状態のための減収を理由とする婚姻費用減額の申立てについて、前件審判を変更すべき理由が認められないとして、減額変更を認めた原審判を取り消し申立てを却下した例

出典
家庭の法と裁判31号64頁
事案の概要

夫婦は2011年に婚姻したが、2016年1月から別居し、妻は子(2012年生)と生活している。妻は同年4月に婚姻費用分担調停を申し立て、同年12月、夫に月6万円の支払いを命じる審判が出て、確定した。夫は2018年4月まで月6万円の婚姻費用を支払っていたが、子と面会できなくなった同年5月以降一切支払わなくなった。夫は同年10月、抑うつ状態で勤務先を退職し,求職活動をしているが不採用となっていることなどを理由として婚姻費用分担金を0円とするよう求める婚姻費用減額調停を申し立てた。原審は、夫の精神状態、年齢、従前の職歴等考慮し、従前の総収入の6割の収入を得られる蓋然性はあるとして、減額した月3万円の支払いを命じた。夫は即時抗告した。

決定の概要

夫(原審申立人、抗告人)の稼働能力について、夫は2018年10月20日に勤務先を自主退職したが、退職直前の収入は前件審判時における収入と大差なかったこと、抑うつ状態のため休業加療が必要であるとする診断書には具体的症状の記載がなくどのような形態であれば就労可能であるのか明らかではないこと、夫は退職後、2019年春頃に第一種衛生管理者の免許等を取得し、2019年秋頃には大学の通信教育課程の入学試験に合格し、2020年に入学予定であること等から就労困難であるほどの抑うつ状態であるとは認められないこと、婚姻費用を支払わないのに大学の入学金や学費20万円を支払っているのは不相当であることなどから、夫は前件審判当時と同程度の収入を得る稼働能力を有しているとみるべきであるとした。したがって、夫の精神状態や収入の減少は婚姻費用分担金を減額すべき事情の変更ということはできないとして、原審判を取り消し、夫の申立てを却下した。(KO)