大阪高裁2019(令1)年11月20日決定 new!

面会交流

未成年者らとの直接的な面会交流は相当でなく、未成年者らの写真の送付及び未成年者らに対する手紙の送付などの間接的な面会交流が相当とされた事例

出典
家庭の法と裁判34号87頁
事案の概要

父母は、2010年に婚姻し、長男(2011年生)、次男(2015年生)、長女(2017年生)をもうけた。

201712月、母は、子らを連れて父と別居し、20181月、父に対し、離婚及び婚姻費用分担調停を申し立てた。これに対し、父は、同年3月、面会交流調停等を申し立てた。父母は、同年10月に親権者を母と定めて調停離婚したが、面会交流調停は同年12月に不成立となり、審判手続に移行した。

父は、感情の起伏が激しく、同居時には2度にわたり包丁を自らに突き付けたりした。母は、父のことを考えると怖くなり、裁判所に来るのも体調が悪くなるので、調査のため、子らを裁判所に連れてくるのは難しいが、年に4回程度、子らの写真を父の実家に郵送することは可能である旨述べた。これに対し、父は、第三者機関を利用するなどして面会交流を実現させるよう求めた。

原審(大阪家裁)は、母が父に対する信頼を失い、かつその突発的な行動に恐怖心を抱いていること、面会交流の実施日が近づくたびに母が体調を崩し、子らに不安や罪悪感を感じさせることから、現時点においては間接的な面会交流とせざるを得ないとし、母に対し、毎年3月、6月、9月及び12月に、未成年者らの写真を合計3枚以上、父の実家宛てに郵送することを命じた。これを不服として、父が即時抗告した。

決定の概要

原審の認定判断をほぼ是認し、母は、父に対し、面会交流をするための最低限の信頼も有していないこと、父のこれまでの行動に子らが幼いことを併せ考慮すると、安全かつ円滑な直接的面会交流を継続的に実施できるか不安が残ること、母の心情に照らせば、母が面会交流に立ち会うことは困難であり、立会いを引き受ける第三者機関が存在するかどうかなども明らかでないこと、母が面会交流実施前に体調を崩すことになれば、子らが父との面会交流を心理的に負担と感じるようになり、かえって直接的面会交流が子らの福祉を害することとなる恐れも認められるから、現時点においては、直接的面会交流を実施することは困難であるとした。その上で、母に対し、未成年者らの写真を合計3枚以上父に送付することを命ずるとともに、「年4回程度、抗告人が未成年者らに対して手紙を送付することを認め、抗告人から未成年者ら宛ての手紙が届いたときは、これを未成年者らに交付したり読み聞かせたりすることを命ずるのが相当である」とし、原審判を一部変更した。

なお、できるだけ早期に良好な父子関係を構築することが未成年者らの福祉にかなうとした上で、原審が、長男には父との楽しかった思い出の記憶が残っており、母の拒否的感情が落ち着き未成年者らを面会交流に穏やかに送り出せるようになれば、長男も面会交流に応じられると思料されることから、母へは、父の悪口を言わず、父の悪いイメージを植え付けず、直接的面会交流の実現に努力すること、父へは、穏やかな生活及び感情コントロールに努め、養育費の支払いも努力されたい、と双方への注文を付した部分を引用した。(KI